この「雇用先にマイナンバーを提出しなくてはならない」点で、サラリーマンやOLの副業に影響する、とネット上で話題になっている。
仕事で得た給料に関する税務上の手続きでマイナンバーを使用するのだが、一生同じ番号を用いるため税務署に職歴が残る。そして、マイナンバーは会社やアルバイトなどの勤務先に提出する必要があるため、「勤務先に今までの職歴がばれる!」というのがその根拠だろう。しかし、企業がマイナンバーを利用できる範囲に関しては制限があるので、少なくとも現時点で雇用先に把握されることはなさそうだ。
一方で、留学生のアルバイトにはマイナンバー制度が大きく影響してくる、と言われている。それは職歴がばれるというより、労働時間の面で、である。
日本に留学している方の多くは学費・生活費のためにアルバイトをしている。中には昼間学校、夜バイトと休む間もなく必死に働いている方も少なくはないだろう。留学生のアルバイト時間は法律で原則週28時間以内と定められている。東京の最低賃金は2015年⒒月現在907円。週28時間MAXで働くと一か月の収入はおおよそ、
907円× 28時間× 4週= 約10万円
となる。
東京で生活しようとしたら、10万ではとても足りない月も出てくるかもしれない。だが、なるべく多く稼ぎたい、と思ってアルバイトを28時間超えていれてしまうと、違法就労になってしまう。
マイナンバーがあれば、個人の収入は簡単に把握でき、その収入から労働時間を割り出すことができるため、労働局のチェックが厳しくなることが予想されている。東京などの都市部では、飲食店など、安い賃金で働いてくれる外国人留学生抜きには成り立たなくなりつつある側面もあるが、雇用する側も労働時間の遵守に気を使うだろう。
2015年9月に成立したマイナンバー改正法により、2018年より、銀行口座にマイナンバーを任意で登録する制度も開始する。総預金試算をごまかすために、資産を複数の口座に預けていても、マイナンバーがついていれば税務局が預金総額を把握できる、ということである。
マイナンバー導入の大きな目的は個人所得の明確化、及び生活保護の不正受給や脱税を防ぐことにある。関連方面の締め付けは今までより厳しくなるだろう。
話をまとめると、マイナンバーは日本に3ヶ月以上滞在する外国籍の人にも交付される。そして、マイナンバー制度によって個人の所得の管理が厳しくなる。特に留学生の場合は、自身の労働時間にご注意を、ということである。実際に施行されてみないといまいちピンと来ない点も多いが、日本で暮らす上でマイナンバー制度には今後も注目する必要があるだろう。